AIでExcelデータ分析を効率化する方法
最終更新日: 2026年2月18日
AIは「式の下書き」「整理手順の提案」「見せ方の候補」「文章要約」を高速化し、人は検算と意思決定に集中できます。 AIに下書きを任せ、あなたは検算と示唆づくりに集中すると、スピードと再現性が上がります。 Excel分析は「関数」「整形」「グラフ」「レポート文章」のどこかで詰まると、検討の時間より作業の時間が増えがちです。
プロンプトの型を先に押さえたい場合は 仕事用プロンプトテンプレートもあわせて確認すると、定着が早くなります。
要点まとめ
- AIは「式の下書き」「整理手順の提案」「見せ方の候補」「文章要約」を高速化し、人は検算と意思決定に集中できます。
- 最初は“問いを1つ”に絞り、列名・期間・粒度など前提を渡すと精度が安定します。
- 機密データは匿名化・集計値化が基本。AIの出力は必ず数値で検証してください。
AIがExcel業務を変える3つのポイント
AIは「式を作る」「整える」「説明文に落とす」を高速化します。人は検算と意思決定の質を上げることに集中できます。
1. 関数生成(式の下書きが秒速になる)
列名・条件・戻り値を伝えるだけで、IF/SUMIFS/XLOOKUPなどの式案を生成できます。人は“意図どおりか”の検算に集中できます。
2. データクレンジング(整理手順が言語化される)
欠損・重複・型の揺れ・表記ゆれの直し方を手順化できます。Power Queryや関数の候補を並べ、最短ルートを選べます。
3. 可視化(グラフと切り口がすぐ出る)
目的(増減要因/比較/構成比)に合わせて、適切なグラフ種別とピボット設計を提案させられます。意思決定に必要な“見せ方”を速く作れます。
ChatGPT/ClaudeでExcel関数を生成する方法(VLOOKUP・IF・ピボット等)
関数生成は「列名」「条件」「戻り値」「例外」を具体化できれば再現性が出ます。最後は必ず検算して採用しましょう。
「列名(どの列)」「条件(いつ)」「戻り値(何を返す)」「例外(見つからない/空白)」を具体的に渡すのがコツです。式は必ずサンプルデータで検算し、 参照範囲のズレや型の違い(数値/文字列)で崩れないかを確認してください。
なお、Claude in ExcelのようにExcelアドイン型のAIを使える場合は、この「プロンプトの型」をそのままシート上で実行し、対象セルに貼れる形で式や手順を 生成できます(最終的な検算は必須です)。
VLOOKUP/XLOOKUP(マスタ参照)
コピペ用プロンプト
あなたはExcelの関数に詳しいアナリストです。
次の条件を満たす式を提案してください。
【目的】商品コードから商品名を参照したい
【データ】
- Sheet1: A列=商品コード, B列=売上
- Master: A列=商品コード, B列=商品名
【要件】
- 見つからないときは空欄
- できればXLOOKUPを優先
【出力形式】
1) 推奨式
2) 参照範囲の注意点
3) よくある失敗(型/空白)IF/IFS(条件分岐)
コピペ用プロンプト
以下の条件で、ExcelのIF/IFSの式を作ってください。
【目的】売上をランク分けしたい
【入力】B2に売上金額
【ルール】
- 100万円以上: A
- 50万円以上: B
- 10万円以上: C
- それ以外: D
【出力形式】
式(日本語/英語関数どちらでもOK)と、判定順序の理由を1行で。ピボットテーブル(配置設計)
コピペ用プロンプト
あなたはExcel分析の専門家です。次の目的を達成するためのピボットテーブル設計を提案してください。
【目的】月別×商品カテゴリの売上推移を見たい
【列】日付, 商品カテゴリ, 売上
【要件】
- 月別に集計
- カテゴリ別に比較
- 伸びが大きいカテゴリが分かる
【出力形式】
- 行/列/値/フィルターの配置案
- 推奨グラフ(種類)
- 追加で入れると良い指標(例: 前月比)データ分析の実践ステップ(データ整理→分析→可視化→レポート)
AIを入れても、分析フロー自体は変わりません。変わるのは“下書きの速さ”です。次の4ステップに沿って進めると、迷わず再現できます。
1. データ整理(定義を揃える)
- 列名・単位・期間・粒度を明確にする
- 欠損/重複/型の揺れをチェックする
- 必要ならPower Queryで整形する
2. 分析(問いを1つに絞る)
- まずは“増えた/減った”の事実を確定する
- 比較軸(期間/セグメント)を固定する
- 仮説→検証の順で深掘りする
3. 可視化(意思決定の形にする)
- 構成比・推移・比較のどれかに寄せる
- ピボット+スライサーで切り替えを用意する
- 1枚で伝えるなら要素を絞る
4. レポート(結論→根拠→示唆→次アクション)
- 結論は1行で先に書く
- 根拠は主要数値を3つまでに絞る
- 次アクションは期限/担当/観点を含める
Excel × AI 活用シーン別ガイド(売上分析/顧客分析/在庫管理/アンケート集計)
“何を見たいか”が決まると、必要な列と集計軸が決まります。以下はよくある業務シーン別の切り口です。学習から始めたい方は生成AI学習ロードマップも参考にしてください。
売上分析
- 月別/週別の推移と前年差
- カテゴリ別の伸長/落ち込み
- 上位商品の寄与(Pareto)
顧客分析
- 新規/既存の構成比と推移
- LTVの分解(回数×単価)
- 解約/離反の兆候(頻度低下)
在庫管理
- 回転率・欠品・滞留の検知
- 発注点の目安づくり
- 需要急増のシグナル(急伸SKU)
アンケート集計
- 自由記述の分類と要約
- 設問別の傾向(満足/不満)
- セグメント別の差分(属性別)
AI×Excelツールの比較と使い分け(2026年2月版)
「AIでExcel分析を速くする」と言っても、ツールによって“どこでAIが動くか”が違います。まずは (1)Excelの中で完結させたいか、 (2)ローカルファイルを扱いたいかを決めると、選定がブレません。
仕様や提供範囲は、ロールアウト/契約プラン/テナント設定で変わります。ここでは「実務で選ぶ観点」を揃えた上で、公平に整理します(重要データは必ず検算)。
| 項目 | Claude in Excel | Copilot in Excel | ChatGPT(Advanced Data Analysis) | Claude Cowork |
|---|---|---|---|---|
| 動作場所 | Excelアドイン | Excel内蔵 | ブラウザ/アプリ | デスクトップアプリ |
| ローカルファイル | 対応(OneDrive不要) | 非対応(OneDrive/SharePointが前提になりやすい) | アップロード/クラウド連携 | 対応 |
| 複数シート理解 | 強い(引用つき説明が得意) | 弱い(前提を言語で補うと安定) | アップロードした範囲内 | 対応 |
| Power Query | 対応(Mコード生成/最適化) | 非対応(手順提案は可能) | 非対応 | — |
| 料金目安 | Claude Pro〜 | Microsoft 365 Copilot | ChatGPT Plus〜 | Claude Pro〜 |
| 成熟度 | プレビュー | GA(制約が多い) | GA | プレビュー |
Claude in Excel(Anthropic)
2025年10月頃からプレビュー提供が進み、2026年1月頃にProプラン以上(Pro/Max/Team/Enterprise)での利用が広がったとされます。Excelアドインとして動作し、 分析はOpus 4.6系モデルで行う構成が目安です。
料金はClaude Pro(月額20ドル程度)からが目安です(プラン/契約形態で変動)。
- 強み: ローカルファイルでも動作しやすい(OneDrive保存が前提になりにくい)
- 強み: 複数タブのワークブック理解+セル参照つきの説明が得意
- 強み: Power QueryのMコード生成/最適化が可能
- 強み: 「Ask before edits」で編集前確認の運用に寄せられる
- 強み: 応答速度がCopilotより速いと感じる人もいる(体感差・環境差あり)
- 弱み: まだプレビュー段階。複雑な金融モデル等は手動検証が必須
- 弱み: 入力パラメータ変更時に関連計算が追随しないケースがある
- 弱み: 基本タスク(重複削除、フォーマット統一、数式デバッグ)は得意だが、文脈理解が必要な複雑なデータクリーニングは苦手な傾向
Copilot in Excel(Microsoft)
Microsoft 365にネイティブ統合されているため、環境が揃っていれば“いつものExcelの延長”で使えます。一方で、組織設定や保存場所の要件など、制約が出やすいのも特徴です。
- 強み: Microsoft 365内での即時性(導入済みなら体験がシームレス)
- 前提: Microsoft 365の有料ライセンス(Copilot Pro等)が必要になりやすい
- 制約: OneDrive/SharePoint保存+AutoSaveオンが前提になりやすい(ローカル不可になりがち)
- 制約: COPILOT関数はバージョン2510以上が必要とされ、テナントによって利用可否が分かれる
- 制約: COPILOT関数は数値計算よりテキスト処理・アイデア生成向き
- 制約: 利用回数の上限が設定される場合がある(例: 10分で最大100回、1時間で最大300回など)
- 注意: 機能(例: App Skillsなど)は提供状況が変動しやすく、2026年2月末にExcelから削除予定と案内されるケースもある
- 注意: 長いスプレッドシートでクラッシュするという報告もあるため、大規模データは分割・検算が無難
ChatGPT(Advanced Data Analysis / Python)
CSV/Excelをアップロードして、内部でPython(pandas等)を使って分析・可視化できます。2026年はGoogle Drive/OneDriveから直接ファイル追加できる運用も増え、 「グラフ+文章のレポート」まで一気通貫で作りやすいのが強みです。
- 強み: 集計/統計/可視化/文章化まで“レポート生成”が速い
- 強み: 手順が残る(Pythonコードや前処理のログとして再利用できる)
- 注意: Excel内で直接動くわけではなく、チャット経由のワークフロー
- 注意: 機密データはアップロード可否・契約条件を必ず確認
Claude Cowork(Anthropic)
2026年1月に発表された、プログラミング不要のデスクトップエージェント(研究プレビュー)。キャッチコピーは「Claude Code for the rest of your work」。 CSVをドロップするだけで、サマリー・グラフ・インサイト込みのレポートが短時間で作れる方向性が注目されています。
- 強み: 非エンジニアでも「ファイル投入→レポート」まで到達しやすい
- 強み: Excelレポート自動生成にも対応する構成が増えている
- 弱み: 研究プレビュー段階のため、業務運用は検証前提
おすすめの使い分け(最短で成果が出る選び方)
- 社内データをExcel上で直接分析したい → Claude in Excel(ローカルOK、マルチシート理解)
- Microsoft 365環境が整っていて手軽に始めたい → Copilot in Excel(ただし保存/テナント制約に注意)
- CSVをアップロードして可視化・レポートを作りたい → ChatGPT Advanced Data Analysis
- プログラミング不要でPC上のファイルをまとめて分析したい → Claude Cowork
- 本格的にPythonで分析を学びたい → pandas/scikit-learn(中長期のスキル投資)
すぐ使えるプロンプト例5選(関数生成/データ整理/グラフ提案/異常値検出/レポート要約)
そのままコピペして使える形にしました。社内で共有する場合は、変数({列名}, {期間} など)を残すと再利用しやすくなります。
1) 関数生成(条件と列名を渡す)
次のExcel表で、C列に「購入回数の区分」を入れる式を作ってください。
- A列: 顧客ID
- B列: 購入回数
ルール: 10回以上=ヘビー / 3回以上=ミドル / それ以外=ライト
要件: 空白は空白のまま
出力: 式と、参照範囲の注意点2) データ整理(クレンジング手順を作る)
以下のデータをExcelで分析できる状態にするためのクレンジング手順を提案してください。
【よくある問題】
- 日付が文字列になっている
- 顧客名に全角/半角や表記ゆれがある
- 金額列に「,」や「円」が混ざっている
出力形式: 手順(優先順)/ 推奨関数 or Power Query / 検算ポイント3) グラフ提案(目的から逆算する)
目的: 月別売上の増減要因を上司に説明したい。
列: 月, 商品カテゴリ, 売上, 粗利
制約: 1スライドで説明、グラフは2つまで。
出力: 推奨グラフ2案(種類・軸・色分け)と、読み取りポイント。4) 異常値検出(原因の当たりをつける)
異常: 今週のCVRが前週比-30%。
関連変更: LP改修あり。
Excel集計列: 日付, 流入チャネル, セッション, CV, CVR。
出力: まず確認すべき切り口(3つ)/ 計測不具合の確認手順 / 追加で必要なデータ。5) レポート要約(結論ファーストで短く)
次の集計結果を、上司向けに要約してください。
制約: 結論1行 + 根拠(主要数値3つ)+ 示唆2点 + 次アクション2点。
トーン: 簡潔で断定しすぎない。
データ:
{ここに数値を貼る}AI活用時の注意点(データセキュリティ、ハルシネーション確認)
- 機密データは貼らない前提で運用する(匿名化・集計値化・サンプル化)。組織ルールに沿って利用範囲を決めます。
- AIの式や手順は“もっともらしい誤り”が混ざります。必ず検算(件数、合計、代表サンプル)を入れてください。
- 条件の取り違えが多いです(期間、税込/税抜、欠損の扱い、通貨単位など)。前提条件を最初に文章で固定します。
- 社外共有資料は最終的に人が編集・確認するフローを徹底します。レポート文章は“下書き”として扱うのが安全です。
よくある質問(FAQ)
つまずきやすいのは「機密データ」「検算不足」「目的の曖昧さ」です。よくある疑問をQ&Aで整理します。
- Q. AIで作ったExcel関数はそのまま使って大丈夫ですか?
- A. そのまま貼り付けず、参照範囲・条件・戻り値が意図どおりかを必ず確認してください。サンプルデータで検算し、想定外の空白や型(文字列/数値)で崩れないかをチェックすると安全です。
- Q. ChatGPTとClaudeはどちらがExcel分析に向いていますか?
- A. どちらでも可能です。重要なのは、目的(集計/可視化/レポート)・前提(列名、期間、粒度)・出力形式(関数/手順/表)を明確にすることです。同じ入力で両方を試し、品質が安定する方を選ぶのが実務的です。Excel内で完結させたい場合は、Claude in ExcelやCopilot in Excelなど“Excel上で動くAI”も選択肢になります。
- Q. Claude in ExcelとCopilot in Excelの違いは?
- A. 大きな違いは「ファイル要件」と「得意領域」です。CopilotはOneDrive/SharePoint保存やテナント設定など環境要件が出やすい一方、Microsoft 365にネイティブ統合されています。Claude in Excelはアドイン型で、ローカルファイルやマルチシート理解、Power Query(Mコード生成/最適化)に強い傾向があります。どちらも最終的な数値の確定は検算が必須です。
- Q. 結局どのツールがおすすめですか?
- A. 目的で選ぶのが最短です。Excel上で社内データを直接扱いたいならClaude in Excel、Microsoft 365環境が整っていて手軽に始めたいならCopilot、ファイルをアップロードして可視化・レポートまで作りたいならChatGPT Advanced Data Analysis、PC上のファイルをまとめて“投げて分析”したいならClaude Coworkが候補です。
- Q. 機密データをAIに貼っても問題ありませんか?
- A. 社内規程と契約、利用するAIサービスの設定(学習利用の扱い、組織管理機能など)に依存します。原則は匿名化・集計値化・サンプル化し、個人情報や取引先情報を含む生データの貼り付けは避ける運用が安全です。
- Q. Excelのどの工程が一番AIで速くなりますか?
- A. 関数作成、データ整形の手順化、グラフの提案、レポート文章の下書きが速くなりやすいです。逆に、元データの正しさ(欠損・重複・定義の揺れ)を整える作業は人の確認が欠かせません。
- Q. ピボットテーブルもAIで作れますか?
- A. ピボットテーブル自体の作成はExcel操作が必要ですが、AIに「目的と列構成」を伝えることで、配置(行/列/値/フィルター)や集計方法の設計案を作れます。結果は必ず手元の数値で検算してください。
- Q. 分析結果を上司向けに短くまとめるコツは?
- A. 結論→根拠(主要数値)→示唆→次アクションの順に固定すると伝わりやすくなります。AIには“1スライド相当”“箇条書き5行以内”など制約を先に渡すと、要約品質が安定します。
関連リンク
まとめ
- AIは「式の下書き」「整理手順の提案」「見せ方の候補」「文章要約」を高速化し、人は検算と意思決定に集中できます。
- 最初は“問いを1つ”に絞り、列名・期間・粒度など前提を渡すと精度が安定します。
- 機密データは匿名化・集計値化が基本。AIの出力は必ず数値で検証してください。
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