AIエージェントの作り方|仕組み・開発手順・活用パターンを解説
最終更新日: 2026年2月18日
AIエージェントは、目標達成に向けて「計画→実行→観察→修正」を反復するAIシステムです。 この記事では、仕組み→開発5ステップ→フレームワーク比較→ノーコード実装→運用上の注意点まで、まず作るべき最小構成を結論先出しでまとめます。 エージェント開発とは、「自動化したい」が先行すると、権限・評価・停止条件が抜けて事故りがちです。

要点まとめ
- AIエージェントは、目標達成に向けて「計画→実行→観察→修正」を反復するAIシステムです。
- 開発は「目的定義 → ツール選定 → プロンプト設計 → テスト → 運用」の5ステップで進めると迷いにくくなります。
- 成否は実装よりも「安全性(権限と境界)」「コスト上限」「ログ設計」で決まります。
AIエージェントとは?
AIエージェントとは、目標を与えると「次の行動を決めて、実行し、結果を見て調整する」流れを自律的に回せるAIです。
重要なのは「回答するAI」ではなく「仕事を前に進めるAI」という点です。情報取得が必要ならRAGを組み合わせ、実行が必要ならツール連携を 組み込むことで、実務で使える品質に近づきます。

まず概念を整理したい場合は AIエージェントとは? を先に読むと全体像が掴みやすくなります。
AIエージェントの基本アーキテクチャ(計画→実行→観察→修正のループ)
AIエージェントは「計画→実行→観察→修正」を回すループ構造で、状態・評価・ガードレールを足して運用品質を作ります。
基本形は「ループ」です。これに、ツール(外部システム操作)・状態(メモリ)・評価(検証)・ガードレール(安全境界)が加わります。


1) 計画(Plan)
目的を分解し、次に何をするか(情報収集/作業/確認)を決めます。
2) 実行(Act)
ツール実行や外部API呼び出しなど、環境に作用するアクションを行います。
3) 観察(Observe)
実行結果(ログ/数値/エラー)を読み、成功/失敗の状態を更新します。
4) 修正(Reflect/Revise)
必要なら再計画し、条件分岐・再試行・人の確認へ切り替えます。
実装でよく使う部品
- Planner: タスク分解と次アクション選択
- Tooling: 検索/DB/メール/CRMなどの実行手段(関数呼び出し)
- Memory/State: 進捗、前提、参照情報、失敗理由の保持
- Evaluator: 出力の検証(形式/整合性/ルール遵守)
- Guardrails: 権限、危険操作のブロック、個人情報の取り扱い
AIエージェント開発の5ステップ(目的定義→ツール選定→プロンプト設計→テスト→運用)
最初から「自律」を目指さず、境界を決めたワークフローから始めると成功率が上がります。

Step 1. 目的定義(ゴール/境界/成功条件)
「何をやるか」より先に「何をやらないか」を決めます。入力できる情報、実行してよい操作、最終的に人が確認する箇所を明確にし、成功条件はKPI(時間削減、一次解決率、精度など)で定義します。
Step 2. ツール選定(どこまで自動化するか)
メール/カレンダー/CRM/社内DBなど、実務のボトルネックに直結するツールから選びます。最初は「読み取り中心」→「限定的な書き込み」→「承認付き実行」の順に段階的に権限を広げると安全です。ツール連携は、MCP(Model Context Protocol)などの共通プロトコル経由で接続できる場合もあります。
Step 3. プロンプト設計(役割/制約/出力/ツール仕様)
システム指示で役割と禁止事項を固定し、ツール入出力の形式を厳密にします。ハルシネーション対策として「根拠提示」「不確実なら質問」「出典がない場合は推測と明記」をルール化します。
Step 4. テスト(再現性/評価/失敗パターンの収集)
代表ケースだけでなく、例外・曖昧入力・権限エラー・タイムアウトを含むテストを用意します。失敗ログを分類し、再試行戦略(回数、温度、別ルート)と人の介入条件を決めます。
Step 5. 運用(監視/コスト上限/改善サイクル)
成功率・人の介入率・平均コスト・危険操作のブロック回数を可視化し、毎週の改善サイクルを回します。実務では「運用が8割」なので、ログと権限設計を最初から作り込みます。
実装そのものに不安がある場合は AIコーディング入門 を併読すると、ツール選定やテストの考え方が補強できます。
主要フレームワーク比較(LangChain/AutoGen/CrewAI/OpenAI Responses API)
最初から複雑な協調にせず、ワークフロー型で小さく作り、必要になった「状態管理・評価・再試行・役割分担」を足していくのが安全です。
どれが正解というより、必要な「協調の型」と「運用のしやすさ」で選びます。なお、AutoGPTのような“自律実行”系のプロジェクトもありますが、実務では権限と停止条件(どこで止めるか)を前提に設計するのが基本です。

| 選択肢 | 強み | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| LangChain(+ LangGraph等) | ツール実行・チェーン・状態管理など実装の選択肢が広い | ワークフロー型から段階的に拡張したいケース | 抽象度が高く、設計の一貫性がないと複雑化しやすい |
| AutoGen | 複数エージェントの会話/役割分担を作りやすい | レビューや協調(作成→検証→修正)の構造が欲しいケース | 会話が長くなりやすく、コスト/収束設計が重要 |
| CrewAI | 役割(Role)とタスク分割の型がわかりやすい | 業務プロセスを「役割×タスク」で表現したいケース | ツールと評価の設計が甘いと、出力品質が安定しない |
| OpenAI Responses API | 実行基盤を任せつつ、アプリ側は体験設計に集中できる | チャット体験にエージェント動作を組み込みたいケース | 要件次第で実装の自由度(状態/評価/ツール制御)に制約が出る。Assistants APIはdeprecated(2026年2月時点で削除予定: 2026年8月)なので、新規はResponses API前提で検討する |
ノーコードで作るAIエージェント(Dify/Zapier/GPTs)
実務で成果を出す最短ルートは、ノーコードで仮説検証し、必要な部分だけコード化する進め方です。
まずは「入力が決まっている」「出力の正解がある」タスクから始めると、運用が安定しやすくなります。
Dify
ワークフロー/ナレッジ/RAGを統合して、業務向けエージェントを組み立てやすい選択肢です。まずは「社内FAQ→回答生成」のように情報源が明確な領域から始めると安定します。
Zapier
既存SaaS連携の自動化に強く、営業/CS/バックオフィスの反復作業を短時間でつなげられます(AI Actions等の機能を含む)。誤操作防止のため、最初はドラフト作成や通知に限定するのが安全です。
GPTs
プロンプトとナレッジで「型」を作りやすく、社内の相談窓口やテンプレ生成に向きます。権限の強い操作(書き込み/送信)は、人の確認と組み合わせて運用します。
実務での活用パターン(リサーチ自動化/カスタマーサポート/データ分析/ワークフロー自動化)
最初は「品質が測れる」「失敗しても被害が小さい」領域から始めると安全です。
特に、情報収集やドラフト作成は導入効果が出やすいです。

リサーチ自動化
情報収集→要点整理→社内フォーマット化までを短縮し、意思決定スピードを上げます。
カスタマーサポート
問い合わせ分類、一次回答、担当振り分けを自動化し、対応品質のばらつきを減らします。
データ分析/レポート
集計→グラフ→示唆→コメント案までを生成し、定例レポート作成の工数を削減します。
ワークフロー自動化
申請、承認、通知、タスク登録などの反復作業をつなぎ、手戻りを減らします。
情報取得が鍵になる場合
ナレッジ検索や社内資料の参照が必要なら、RAGの仕組みを組み合わせると品質が安定します。詳しくは RAGとは? を参照してください。
開発時の注意点(安全性、コスト管理、ハルシネーション対策)
事故を防ぐ鍵は「危険操作のブロック」「上限(コスト/回数/権限)」「検証(テスト/バリデーション)」を最初に組み込むことです。


安全性(権限と境界)
書き込み系の操作は特に危険です。「何を実行してよいか」「誰が承認するか」「ログをどう残すか」を最初に固定し、権限は最小から始めます。
コスト管理(上限と停止)
入力長・再試行回数・ツール呼び出し回数を制限し、タスク単位で上限コストを設定します。要約・キャッシュ・早期停止を組み込むと安定します。
ハルシネーション対策(検証と根拠)
根拠提示、検証ステップ、失敗時の質問返しを設計します。重要判断は二重チェック(別プロンプト/別エージェント)や人の確認を前提にします。
よくある質問(FAQ)
- Q. AIエージェントを作るとき、最初に決めるべきことは何ですか?
- A. 最初に決めるべきは「目的(何を達成するか)」「成功条件(どう測るか)」「人が確認する境界(どこで止めるか)」の3つです。ここが曖昧だと、実装が進んでも運用に乗らず、改善サイクルが回りません。
- Q. AIエージェントとRAG(検索拡張生成)は同じものですか?
- A. 別物です。RAGは「正しい情報を取りにいく仕組み」で、AIエージェントは「目標達成のために計画・実行・観察・修正を繰り返す仕組み」です。実務では、エージェントの情報取得手段としてRAGを組み合わせることが多いです。
- Q. フレームワーク(LangChain/AutoGen/CrewAI等)は必須ですか?
- A. 必須ではありません。最初は「単機能のワークフロー+ツール実行(関数呼び出し)」で十分なことも多いです。一方、複数役割の協調や状態管理、評価・再試行などが必要になると、フレームワークを使うメリットが出ます。
- Q. ハルシネーション(誤り)を減らす実装上のコツはありますか?
- A. 重要な判断は「根拠(出典/ログ/数値)」の提出を必須にし、ツール実行前後の検証(バリデーション/整合性チェック)を入れるのが効果的です。また、最終出力に至る前にレビュー用の中間成果物を残す設計にすると、運用中の事故を減らせます。
- Q. コスト管理はどう設計すればよいですか?
- A. 最初に「1タスクあたりの上限コスト」「最大再試行回数」「ツール実行の上限」を決め、ログで可視化します。長文入力や無制限の再試行はコストが膨らみやすいので、要約・キャッシュ・早期停止を組み込みます。
- Q. 本番運用で必要な監視項目は何ですか?
- A. 少なくとも「成功率」「人の介入率」「平均コスト」「失敗理由の内訳」「危険操作のブロック回数」を監視します。トラブル時に原因を追えるよう、プロンプト・ツール入力・ツール出力・判断結果を紐づけて保存する設計が重要です。
関連リンク
まとめ
- AIエージェントは、目標達成に向けて「計画→実行→観察→修正」を反復するAIシステムです。
- 開発は「目的定義 → ツール選定 → プロンプト設計 → テスト → 運用」の5ステップで進めると迷いにくくなります。
- 成否は実装よりも「安全性(権限と境界)」「コスト上限」「ログ設計」で決まります。
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