AI研修カリキュラム例(職種別)|社内定着まで見据えた設計(2026年版)
生成AI研修は「1回やって終わり」にすると、現場の行動が変わりません。重要なのは、業務で使える形に落とし込み、OJTで定着させることです。
本記事では、全社基礎→職種別応用→定着(OJT)の3段階で、営業・マーケ・バックオフィス・エンジニア向けの具体的な研修プログラム例を提示し、最後にそのまま使える研修企画書テンプレート(10項目)もまとめます。
要点まとめ:研修は「基礎(全社)→応用(職種別)→定着(OJT)」の3段階で設計する
- 研修は「基礎(全社)→応用(職種別)→定着(OJT)」の3段階設計が最短ルート
- 座学だけでなく、実務タスクでのハンズオン(演習→宿題→レビュー)まで作る
- KPIで研修効果を可視化し、月次で継続改善できる仕組みを作る
基礎(全社)
安全な使い方と共通言語を作る(ツール操作より先にルール)。
応用(職種別)
業務ユースケースに直結した演習で「使える型」を持ち帰る。
定着(OJT)
30日以内に実務タスクを回し、勉強会+KPIで改善する。
なぜAI研修が必要なのか
生成AIは「使う/使わない」で、現場の生産性と品質の差が広がります。放置すると、ツール選定やルールがないまま現場に広がり、事故と分断(属人化)が起きます。
活用が進むと起きること
- 下書き・要約・叩き台の速度が上がり、レビューに時間を使える
- ナレッジの形式化(テンプレ/プロンプト)が進み、再現性が上がる
- 新人/非専門職でも一定品質のアウトプットに到達しやすくなる
放置すると起きること(リスク)
- 個人アカウント利用=シャドーAIが増え、監査・教育ができなくなる
- 機密/個人情報の入力事故、生成物の誤情報・権利問題が起きやすくなる
- 使える人だけが先に進み、部門間で成果が分断される
シャドーAIの予防(禁止ではなく統制で進める設計)はシャドーAI対策の進め方にまとめています。
研修は「投資対効果(ROI)」を作る装置
研修がないと、現場は試行錯誤が属人化し、成果が出ても再現されません。研修で「共通ルール+型(テンプレ)+OJT」を作ると、改善が横展開され、同じ投資でも回収速度が上がります。
研修カリキュラムの全体設計
カリキュラムは、基礎→応用→定着の3段階で設計します。ポイントは、応用研修を「職種固有のユースケース」と「演習」に寄せ、最後にOJTで回る運用へ接続することです。
3段階設計:基礎→応用→定着
基礎研修(全社・半日)
- AIの基本(できること/できないこと)
- セキュリティルール(入力NG、権限、ログ)
- 基本操作+よくある業務テンプレ(要約/メール/議事録)
応用研修(職種別・2時間×2〜4回)
- 職種固有のユースケースを3〜5個に絞る
- 演習(ハンズオン)→レビュー→テンプレ化
- 宿題としてOJTタスクを設計する
定着支援(1〜3ヶ月)
- OJTタスク(30日以内)で実務に接続
- 月1回のフォローアップ勉強会
- KPIで効果測定→改善
全体スケジュール表(例)
| フェーズ | 内容 |
|---|---|
| 準備(1〜2週間) | 目的・対象者・ルール(ガイドライン)整理/教材準備/社内講師の補助体制 |
| 基礎(半日〜1日) | 全社向け:できること/できないこと、セキュリティ、基本プロンプト、業務での使い分け |
| 応用(2時間×2〜4回) | 職種別:ユースケース→演習→フィードバック→テンプレ化(プロンプト/手順) |
| 定着(1〜3ヶ月) | OJTタスク、月1の勉強会、成果共有、KPI観測→改善サイクル |
職種別カリキュラム例
応用研修は「職種の実務タスク」から逆算します。各職種で、テーマ/目標/演習内容/所要時間をセットで作り、研修後はそのままOJTタスクに接続します。
営業
| テーマ | 目標 | 演習内容 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| 提案書の叩き台 | 構成案→本文→差別化ポイントまで短時間で作る | 顧客情報を伏せた要件から提案書骨子を生成→レビュー→テンプレ化 | 60分 |
| メール文面生成 | トーン調整と誤解を減らす表現設計 | 目的/相手/制約を入力→複数案→社内ルール(敬語/表記)に合わせる | 45分 |
| 議事録作成 | 要点・TODO・決定事項を正確に残す | 音声/メモの要約→議事録フォーマットへ整形→確認観点(抜け漏れ) | 45分 |
| 顧客分析 | 課題仮説と次アクションを整理する | 公開情報+匿名化した商談ログから仮説→質問案→次回提案の流れ | 60分 |
マーケティング
| テーマ | 目標 | 演習内容 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| コンテンツ作成 | 記事/LPの構成と初稿を高速化する | 検索意図→見出し案→要点→初稿→ファクトチェック観点を追加 | 60分 |
| SNS投稿案 | 媒体ごとの最適化(X/Instagram/LinkedIn) | トーン/文字数/CTAを条件化→複数案→炎上・誤解リスクのチェック | 45分 |
| データ分析 | 仮説→検証→改善案を短時間で回す | 施策結果の要約→示唆→次の打ち手→KPIの見直し案 | 60分 |
| A/Bテスト案 | 仮説の質と検証設計を上げる | 現状コピーを入力→改善仮説→パターン案→検証手順と判定基準 | 45分 |
バックオフィス
| テーマ | 目標 | 演習内容 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| 文書要約 | 規程/契約/手順書の要点を短時間で整理する | 要約粒度(3段階)を指定→要点→確認観点→社内共有フォーマットへ | 45分 |
| FAQ作成 | 問い合わせ対応を減らす | 問い合わせログ→分類→FAQ案→不足情報の洗い出し→更新ルール | 60分 |
| データ入力 | 入力ミス/手戻りを減らす | 手順の要約→チェックリスト化→例外パターンの整理→レビュー運用 | 45分 |
| レポート生成 | 報告の質とスピードを上げる | 事実(数値/出来事)→示唆→次アクションの型で報告書を作る | 60分 |
エンジニア
| テーマ | 目標 | 演習内容 | 所要時間 |
|---|---|---|---|
| コード生成 | 要件→設計→実装の叩き台を速く作る | 仕様→制約→例外→テスト観点まで書かせ、レビュー観点を固定化する | 60分 |
| コードレビュー | レビューの観点漏れを減らす | 変更差分の要約→リスク→改善案→セキュリティ/性能/可読性の観点でチェック | 45分 |
| テスト生成 | 境界条件と例外の網羅性を上げる | 入力パターン→期待値→失敗ケース→最小テストセットを作り、CIで回す | 60分 |
| ドキュメント作成 | 実装の意図を残し、引き継ぎを楽にする | README/ADR/設計メモの雛形化→レビュー→更新運用の設計 | 45分 |
研修企画書テンプレート(10項目)
研修企画は「やることの列挙」ではなく、目的→対象→運用→評価までの一枚設計です。以下の10項目が埋まると、稟議と実行が進みやすくなります。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 研修目的 | 経営課題→現場課題に落とし込み、KPI(後述)まで言語化します。 |
| 対象者 | 全社基礎(全社員)+職種別応用(部門)+管理職向け(意思決定)の3層で設計します。 |
| 実施形式 | 対面/オンライン/ハイブリッド、eラーニング併用、演習比率(例: 30%講義/70%演習)を定義します。 |
| カリキュラム構成 | 基礎→応用→定着の3段階。各回のテーマ、演習内容、宿題(OJTタスク)を明記します。 |
| スケジュール | 研修日程だけでなく、OJT期間とフォローアップ勉強会まで含めて引きます。 |
| 講師 | 外部講師/社内講師の役割分担、社内講師のアサイン条件と育成計画を記載します。 |
| 使用ツール | 利用する生成AI、社内ナレッジ(RAG等)、アカウント/権限、ログ方針を整理します。 |
| 評価方法 | 受講満足度だけでなく、業務指標(時間短縮、品質、再作業率等)を継続観測できる形にします。 |
| 予算 | 外部研修費、社内講師育成費、ツール費、運営工数(準備/運用)を分けて見積もります。 |
| フォローアップ計画 | 30日以内のOJT、月次フォローアップ、成果共有会、教材アップデート体制を定義します。 |
社内講師の育成方法
応用研修は業務理解が重要なため、社内講師の存在が効きます。社内講師は「ツールに詳しい人」ではなく、業務の型を言語化して再現できる人を選びます。
社内講師に求めるスキル
- 職種の実務タスクを分解し、演習に落とし込める
- プロンプトや手順をテンプレ化し、再利用できる形にできる
- 受講者の詰まりポイントを観察し、フィードバックできる
養成プログラム(2〜4週間)
Week 1:基礎+教材理解
- 基礎研修を講師視点で受講(ルール/注意点も含む)
- 共通テンプレ(要約/メール/議事録)の標準化
Week 2:職種別演習の設計
- ユースケースを3〜5個に絞り、演習手順に落とす
- 評価観点(出来栄え/リスク/再現性)を決める
Week 3:模擬講義+改善
- 模擬講義→フィードバック→教材/テンプレの改訂
- 受講者の典型ミス(入力NG/誤情報)を教材に反映
Week 4:運用設計
- 教材の更新フロー(担当/頻度/保存先)を決める
- 月次の勉強会、成果共有、KPIレビューの役割分担を作る
教材の標準化とナレッジ共有
教材は「資料」ではなく「運用資産」です。テンプレ(プロンプト、チェックリスト、NG例)を共通化し、更新履歴が残る場所(Notion/Confluence/Google Docs等)に集約します。
研修の落とし穴と対策
研修が失敗する原因は「内容」より「運用設計」にあります。よくある落とし穴を先に潰し、定着まで一直線に繋げます。
落とし穴1:座学だけで終わる
対策:ハンズオン必須化(実務タスクで演習→宿題→レビュー)。研修の成果物をテンプレ化して持ち帰らせます。
落とし穴2:1回きりで終わる
対策:定着支援フェーズ(1〜3ヶ月)を設計し、月1回のフォローアップ勉強会とKPIレビューを組み込みます。
落とし穴3:管理職が参加しない
対策:管理職向けに別プログラム(判断基準、リスク、KPI、役割)を用意し、現場のOJTを支える体制を作ります。
落とし穴4:ルールなしで始める
対策:ガイドラインと同時展開。最低限の入力ルール/権限/ログを決めてから研修に入ります(ガイドライン雛形参照)。
よくある質問(FAQ)
- Q. AI研修は全社員対象にすべきですか?
- A. まず部門横断の基礎研修(1〜2時間)を全社員対象で実施し、その後職種別の応用研修に分けるのが効果的です。
- Q. 研修期間はどれくらい必要ですか?
- A. 基礎研修は半日〜1日、職種別応用研修は2〜4回(各2時間程度)、定着支援は1〜3ヶ月のOJTを含めて設計します。
- Q. 外部講師と社内講師のどちらがよいですか?
- A. 基礎研修は外部講師(専門性と新鮮さ)、応用研修は社内講師(業務理解)のハイブリッドが効果的です。社内講師の養成も重要です。
- Q. 研修で一番重要なポイントは?
- A. 「自分の業務でどう使うか」を具体的に体験させることです。ツールの操作方法だけでなく、実務タスクでのハンズオンが不可欠です。
- Q. 研修後の定着率を上げるには?
- A. 研修後30日以内にOJTタスクを設定し、月1回のフォローアップ勉強会を実施します。KPIで効果を可視化すると継続意欲が高まります。
- Q. 非エンジニア向けの研修で気をつけることは?
- A. 技術用語を避け、業務改善の視点から入ることです。「プロンプト=AIへの質問の書き方」のように日常語に置き換えます。
- Q. 研修費用の相場は?
- A. 公開講座(1人あたり)は2〜10万円程度、講師派遣(1日)は20〜100万円程度が目安です。社内研修は企画・教材作成・講師育成で数十万〜数百万円(規模で変動)。eラーニングは月額数千〜数万円/人(内容・サポートで変動)を目安に見積もります。
関連リンク
まとめ
AI研修のゴールは「受講」ではなく「現場が継続的に使える状態」です。基礎(全社)で共通言語とルールを作り、応用(職種別)で実務の型を持ち帰り、定着(OJT)で成果を横展開できる運用に繋げましょう。
研修設計の叩き台、最短で作ります
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