生成AIに個人情報を入れても大丈夫?
安全に使うための5つのルール【2026年版】
公開日: 2026年2月22日
「ChatGPTに仕事のメールを書いてもらったけど、入力した内容ってどこかに保存されるの?」「会社の資料をAIに要約させたら情報漏洩にならない?」——生成AIを使い始めた多くの人が抱く不安です。
結論からお伝えします。正しく設定し、入力する情報を選べば、生成AIは安全に使えます。ただし「何も気にせず何でも入力してOK」ではありません。
この記事では、ChatGPT・Claude・Geminiの2026年2月時点のデータポリシーを正確に比較しながら、「何が危険で、何は安全か」の境界線を明確にします。オプトアウト設定の具体的な手順も、ツールごとにステップバイステップで説明します。
要点まとめ(結論先出し)
- 氏名・住所・電話番号など個人を特定できる情報は入力しない。匿名化・抽象化してから依頼する
- 会社の機密情報はAIに入力する前に上司やセキュリティ部門に確認。エンタープライズ版なら契約で学習対象外
- ChatGPT・Claude・Geminiとも「学習に使わない」設定がある。今すぐオフにしよう(手順は記事内で解説)
- 有料版の方が安全なのは事実。特にTeam/Enterprise版は契約で学習利用が禁止されている
- 入力前に「これがSNSに公開されても問題ないか?」と自問する習慣が最強のセキュリティ対策
何が本当に危険?AIのデータの流れを理解する
「生成AIに入力した情報は、全世界に公開される」——これは誤解です。しかし「完全に安全」でもありません。まず、あなたが入力したデータがどう扱われるかを正しく理解しましょう。
1. 入力
あなたがテキストを入力すると、データはインターネット経由でAI提供会社のサーバーに送信されます。
2. 処理
サーバー上でAIモデルが回答を生成し、あなたに返送します。この時点では他のユーザーにデータが見えることはありません。
3. 保存
会話履歴はあなたのアカウントに紐づいて保存されます。保存期間はサービスにより異なります(30日〜数年)。
4. 学習(ここが問題)
デフォルト設定では、入力データがAIモデルの改善(学習)に使われる可能性があります。オプトアウトすれば防げます。
実際に起きたインシデント:Samsung社のケース(2023年)
2023年4月、Samsung半導体部門のエンジニアが社内の機密ソースコードや会議メモをChatGPTに入力するインシデントが発生。当時のデフォルト設定では入力データが学習に使われる仕様だったため、機密情報がOpenAIの学習パイプラインに取り込まれた可能性が指摘されました。Samsungはその後、社内での生成AI利用を全面禁止する通達を出しました。
このインシデントから学べる教訓は明確です。問題は「AIが危険」なのではなく「入力する情報の選択」と「設定の確認」を怠ったことです。正しいルールを知っていれば、安全に活用できます。
ルール1:個人を特定できる情報(氏名・住所・電話番号)は入力しない
最も重要で、最もシンプルなルールです。氏名、住所、電話番号、メールアドレス、マイナンバーなど、個人を特定できる情報はAIに入力しない。これだけで、プライバシーリスクの大部分を回避できます。
「でも、メールの文面を作ってもらうときに名前が必要では?」と思うかもしれません。その場合は匿名化してください。
NG: そのまま入力
“株式会社ABC 営業部 田中太郎様(tanaka@abc.co.jp)に、2月25日のお打ち合わせについてリマインドメールを書いてください”
OK: 匿名化して入力
“取引先の担当者に、来週の打ち合わせのリマインドメールを書いてください。丁寧だけど堅すぎないトーンで”
入力を避けるべき情報の例
- 氏名・住所・電話番号・メールアドレス
- 生年月日・マイナンバー・免許証番号
- クレジットカード番号・銀行口座情報
- 健康診断結果・医療情報
- パスワード・APIキー・アクセストークン
ルール2:会社の機密情報は入力前に上司に確認する
個人で使う場合と、仕事で使う場合では注意すべきポイントが違います。仕事で生成AIを使うとき、最も気をつけるべきは「会社の情報」の取り扱いです。
具体的に「入力してはいけない情報」を挙げます。
顧客情報
顧客名簿、取引先の非公開情報、契約内容の詳細
営業秘密
製品の設計図、製造プロセス、独自のアルゴリズム
未公開財務情報
未発表の決算数値、M&A交渉の内容、投資計画
人事情報
社員の評価データ、給与情報、採用候補者の個人情報
判断に迷ったら、「入力前に上司またはセキュリティ部門に確認する」のがベストです。多くの企業がAI利用ガイドラインの策定を進めています。自社にガイドラインがあるか確認してみましょう。
エンタープライズ版という選択肢
ChatGPT Team/Enterprise、Claude for Work(Team/Enterprise)、Gemini for Google Workspaceなどのビジネスプランでは、契約上「入力データをAIの学習に使用しない」ことが保証されています。会社でAIを本格的に活用するなら、エンタープライズ版の導入が最も安全な選択です。
ルール3:「学習に使わない」設定をオンにする——各ツールのオプトアウト手順
ChatGPT・Claude・Geminiのいずれも、デフォルト設定ではあなたの入力データがAIモデルの改善(学習)に使われる可能性があります。しかし、各ツールとも「学習に使わない」設定(オプトアウト)が用意されています。
今すぐ以下の手順で設定を変更しましょう。所要時間は各ツール1分程度です。
ChatGPT のオプトアウト手順
ChatGPT にログインする
右上のプロフィールアイコンをクリック
「Settings(設定)」を選択
「Data Controls」をクリック
「Improve the model for everyone」のスイッチをOFFにする
「Done」で完了。全デバイスに即座に反映
補足:「Temporary Chat(一時チャット)」モードを使えば、個別のチャットを学習対象外にすることもできます。チャット画面上部のアイコンから切り替え可能です。
Claude のオプトアウト手順
claude.ai にログインする
左下の「Settings(設定)」を開く
「Privacy」タブを選択
「Help improve Claude」のスイッチをOFFにする
変更は即座に反映される
注意:Anthropicは2025年10月にポリシーを変更し、無料・Pro・Maxプランではデフォルトで学習に使用される設定になりました。以前からClaudeを使っていた方も、設定を再確認してください。
Gemini のオプトアウト手順
gemini.google.com にアクセスする
プロフィールアイコンをタップ/クリック
「Gemini Apps Activity」を選択
「Turn off(オフにする)」を選択
必要に応じて「Turn off and delete activity」で過去データも削除
重要な注意点:Geminiでは「Gemini Apps Activity」をOFFにしても、安全性チェック目的で会話の一部が人間のレビュアーによって確認される可能性があります。レビュー対象となったデータは最大3年間保持されます。機密性の高い情報はGeminiの個人プランに入力しないことを推奨します。
ルール4:有料版と無料版のデータポリシーの違いを知る
「有料版の方が安全」とよく言われますが、具体的にどう違うのでしょうか?2026年2月時点の各ツールのデータポリシーを比較します。
| 項目 | ChatGPT | Claude | Gemini |
|---|---|---|---|
| 無料版の学習利用 | デフォルトで学習に使用(オプトアウト可) | デフォルトで学習に使用(2025年10月〜。オプトアウト可) | デフォルトで学習に使用(オプトアウト可) |
| 有料版の学習利用 | Plus/Proも同様にオプトアウト可。Team/Enterpriseは学習対象外(契約で保証) | Pro/Maxもオプトアウト可。Team/Enterpriseは学習対象外(商用契約で保証) | Google One AI Premiumも同様。Workspace版は学習対象外 |
| オプトアウト設定名 | 「Improve the model for everyone」をOFF | 「Help improve Claude」をOFF | 「Gemini Apps Activity」をOFF |
| 設定場所 | Settings → Data Controls | Settings → Privacy | プロフィール → Gemini Apps Activity |
| データ保持期間 | 削除後30日で完全削除 | オプトアウト時は30日。オプトインの場合は最大5年(匿名化) | OFF時も72時間保持。人手レビュー済みデータは最大3年間保持 |
| 人間によるレビュー | 明記なし(安全性チェック目的の場合あり) | 自動フィルタリングで機微データを除外。人手レビューの明示なし | あり(会話の一部を訓練されたレビュアーが確認) |
| 主な認証 | SOC 2 Type 2 / ISO 27001 / ISO 27701 | SOC 2 Type 2 | Google Cloud 各種認証(ISO 27001等) |
※ 2026年2月22日時点の情報です。最新の内容は各サービスの公式ページでご確認ください。
出典:OpenAI Privacy|Anthropic Privacy|Gemini Privacy
プランごとの安全性レベル
エンタープライズ版(ChatGPT Team/Enterprise、Claude for Work、Gemini for Workspace)
契約でデータの学習利用が禁止。管理者が組織全体の設定を一元管理。コンプライアンス認証あり。
有料版+オプトアウト設定済み(ChatGPT Plus/Pro、Claude Pro/Max)
学習利用をオフに設定済み。ただし保護はユーザー自身の設定に依存(契約上の保証はなし)。
無料版・有料版(デフォルト設定のまま)
入力データが学習に使われる可能性あり。オプトアウト設定を強く推奨。
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ルール5:入力前に「SNSに公開されても問題ないか?」テストをする
5つのルールの中で、最も実践的で最も強力なのがこの習慣です。AIにテキストを入力する前に、「この内容がもしSNS(Xなど)に公開されたとしたら、自分や会社に問題が起きるか?」と自問してください。
答えが「問題ない」なら、そのまま入力してOKです。「まずい」と感じたなら、その部分を匿名化するか、入力を控えましょう。
入力したい内容を頭に浮かべる
メール文面、データ分析の依頼、コードレビューなど
「これがSNSに流出したら?」と自問する
自分・同僚・会社・取引先に問題が生じないか
問題がなければ入力。あればは匿名化
名前をA氏に、数値をダミーに、固有名を一般名に
なぜ「SNS公開テスト」が有効なのか?
技術的な知識がなくても、「公開されて困るかどうか」は直感的に判断できます。難しいポリシー文書を読まなくても、この1つの質問が最も確実なフィルターとして機能します。チームで共有するルールとしても、覚えやすく実践しやすいのが利点です。
NG/OK入力例一覧——具体的に何がダメで何が安全か
ここまでのルールを踏まえて、実際の入力例で「NG」と「OK」を整理します。
個人情報をそのまま入力
田中太郎さん(090-1234-5678、東京都港区○○1-2-3)に送るメールを書いて
「取引先の担当者に送るお礼メール」のように個人情報を伏せて依頼する
社内の機密データを貼り付け
この売上データ(実数値付き)を分析して。来期の事業計画に使います
数値をダミーに置き換えるか、エンタープライズ版で利用する
パスワードやAPIキーを含むコード
このコードをレビューして(API_KEY=sk-xxxx が含まれたまま)
秘密情報を「YOUR_API_KEY」などのプレースホルダーに置き換える
一般的な文章作成の依頼
取引先へのお礼メールの文面を作ってください。カジュアルすぎず、丁寧なトーンで
個人情報や機密情報を含まない一般的な依頼
公開情報に基づくリサーチ
2026年の生成AI市場の動向について、主要なトレンドを3つ教えてください
公開情報の整理であり、機密性のある情報を含まない
匿名化済みのデータ分析
以下のアンケート結果(数値のみ、回答者名なし)の傾向を分析してください
個人を特定できる情報が除去されており、安全
企業でAIを導入するためのチェックリスト
個人の注意だけでなく、組織としてのルール整備も重要です。経済産業省・総務省が2025年に公表した「AI事業者ガイドライン v1.1」でも、AI利用者(企業)に対してプライバシー保護の取り組みが求められています。
社内AI利用ガイドラインを策定・周知する
使用するAIツールのデータポリシーを確認する
入力禁止情報のカテゴリを明確にする(個人情報・顧客情報・営業秘密・未公開財務情報)
エンタープライズ版(ChatGPT Team/Enterprise、Claude for Work等)の導入を検討する
オプトアウト設定を全社員に案内する(無料版・個人有料版の場合)
AI出力の社外公開前チェック体制を整える
定期的にポリシーの更新を確認する(四半期に1回推奨)
よくある質問(FAQ)
- Q. ChatGPTに入力した情報は他のユーザーに見られることがありますか?
- 通常の利用では、あなたが入力した内容が他のユーザーの回答に直接表示されることはありません。ただし、デフォルト設定では入力データがモデルの学習に使われる可能性があり、学習済みモデルを通じて間接的に情報が反映されるリスクはゼロではありません。オプトアウト設定をONにすることで、学習への利用を防ぐことができます。
- Q. オプトアウト設定をONにするとAIの回答品質は下がりますか?
- いいえ、オプトアウト設定はあなたのデータがモデルの学習に使われるかどうかの設定であり、AIの回答品質には影響しません。同じモデルが使われ、同じ品質の回答が返ってきます。安心してオプトアウト設定をONにしてください。
- Q. 無料版のChatGPTを仕事で使っても大丈夫ですか?
- オプトアウト設定(Settings → Data Controls → 「Improve the model for everyone」をOFF)を行えば、学習への利用を防げます。ただし、無料版はユーザー自身の設定に依存するため、会社として組織的にAIを導入する場合はTeam版やEnterprise版の利用が推奨されます。これらのプランでは契約上データの学習利用が禁止されています。
- Q. 一度AIに入力してしまった情報を取り消すことはできますか?
- 会話を削除することは可能です。ChatGPTやClaudeでは、チャット履歴から個別の会話を削除できます。ただし、すでにモデルの学習に使われた場合は、その情報を完全に除去することは技術的に困難です。だからこそ、入力前の判断(SNS公開テスト)が重要です。Geminiでは「Gemini Apps Activity」から過去のアクティビティを削除できますが、人間のレビュー対象となったデータは最大3年間保持される点に注意が必要です。
- Q. Claudeは他のツールより安全なのですか?
- 2025年10月以降、Claudeの無料・Pro・Maxプランもデフォルトでデータが学習に使用される設定に変わりました。そのため、オプトアウト設定が必要という点ではChatGPTやGeminiと同様です。ただし、Claudeはオプトアウト時の保持期間が30日と短く、自動フィルタリングで機微データを除外する仕組みがあるなど、プライバシーへの配慮は比較的強い方と言えます。Team/Enterprise版では他のツールと同様に契約で学習利用が禁止されています。
- Q. 子どもにAIを使わせる場合、追加で注意すべきことはありますか?
- はい、いくつかの追加注意点があります。まず、各ツールには年齢制限があります(ChatGPT/Claudeは13歳以上、Geminiは18歳以上)。子どもは個人情報の概念を十分理解していない場合があるため、「名前・学校名・住所は絶対に入力しない」というルールを事前に共有してください。また、保護者アカウントで利用し、会話履歴を定期的に確認することも有効です。
- Q. 企業のAI利用ガイドラインにはどのような内容を含めるべきですか?
- 最低限含めるべき項目は次の通りです。(1) 使用可能なAIツールのリスト、(2) 入力禁止情報の定義(個人情報・顧客情報・営業秘密・未公開財務情報)、(3) オプトアウト設定の必須化、(4) AI出力の社外公開前チェック体制、(5) インシデント発生時の報告フロー、(6) 定期的なポリシー見直しの頻度。経済産業省の「AI事業者ガイドライン v1.1」も参考になります。
まとめ:正しく知れば、安全に使える
生成AIを安全に使うための5つのルールを振り返りましょう。
- 個人を特定できる情報は入力しない——匿名化してから依頼する
- 会社の機密情報は入力前に上司に確認——エンタープライズ版が最も安全
- 「学習に使わない」設定をオンにする——ChatGPT・Claude・Geminiすべてに設定がある
- 有料版と無料版のデータポリシーの違いを理解する——Team/Enterpriseは契約で保護
- 「SNS公開テスト」を習慣にする——入力前の1秒の自問が最強のセキュリティ
「便利だけど怖い」——その感覚は間違っていません。しかし、正しい知識と設定があれば、生成AIは安全に、そして大きな価値をもたらすツールになります。
まずは今日、使っているツールのオプトアウト設定を確認することから始めてみてください。この1分の作業が、あなたのAI活用を一段安心なものにします。
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